MGMリゾート・インターナショナルがEntainPlcを買収予定
先日、証券会社のサンフォードC.バーンスタイン社が以下の内容を発表しました。
カジノオペレーターであるMGMリゾート・インターナショナルは、ビジネスモデルを変革する目的で、オンラインギャンブルコングロマリットであるEntainPlcを110億米ドルで買収しようとしています。もしこの取引が成立した場合、MGMリゾート・インターナショナルは、日本のランドカジノリゾートに対する活躍が小さくなるのではないかと懸念されています。
また、この買収を短期的ではなく長期的にとらえた場合、MGMリゾート・インターナショナルは、マカオのカジノライセンシーであるMGMチャイナホールディングスへの関心も失う可能性があるとされています。
新型コロナウィルスの影響により、日本では統合型リゾートに関する議論がまったく進んでいません。そんな状態にしびれをきらしたMGMリゾート・インターナショナルが、新たなビジネスモデルの構築のために、今回の統合を検討しているのです。そのため、アナリストのVitaly Umansky、Kelsey Zhu、TianjiaoYuによると、今回の買収が成立した場合、MGMリゾート・インターナショナルは日本の統合型リゾート事業から手を引く可能性が考えられます。
また、この撤退の理由は統合型リゾート事業の遅延だけではなく、コストの削減も挙げられます。
MGMチャイナの売却
また、サンフォード・バーンスタインは以下のようにも述べています。
「EntainPlcとの取引は短期的には、MGMチャイナへのコミットメントに影響を与えることはないでしょう。しかし、MGMリゾート・インターナショナルがデジタルの機会に焦点を当てることを選択した場合、近い将来、MGMチャイナは最終的に売却される可能性があります。」
MGMチャイナの”処分”は、短期的には起こらないと示唆されています。しかし、2022年6月の現在の公的譲歩の満了後にマカオ市場で新しい公的譲歩が授与された後、MGMチャイナが勝者となった場合、MGMリゾート・インターナショナルは、MGMチャイナの株式の55%を売却する可能性も考えられます。
MGMリゾート・インターナショナルとEntainの統合の理由
MGMリゾート・インターナショナルがEntainを買収する理由としては、ビジネスのデジタル化が挙げられます。今後、ランドベースのビジネスではなく、オンラインギャンブルを中心にビジネスを展開することで、ラスベガスへの依存を減らそうという狙いがあるのです。証券アナリストはこのビジネスの転換はMGMリゾート・インターナショナルにとって大きな成長の機会になるだろうと推測しています。
すでにMGMリゾート・インターナショナルは、米国を拠点とするスポーツ賭博とiGamingのために、BetMGMと呼ばれるEntainとの50-50の合弁事業を行っています。
また、Entainはこの合弁事業に加えて、bwin、Eurobet、Ladbrokesなどのスポーツ賭博ブランドのポートフォリオを保有しています。
そのため、MGMリゾート・インターナショナルはEntainを買収することにより、オンラインギャンブルにおいてかなりのマーケットを獲得することができるようになるのです。
まだ具体的な買収価格等は決定していませんが、この買収が成立すれば、オンラインギャンブル業界にとって大きな変化になることでしょう。